訪問看護は、自宅で療養している人を看護師などが訪問してケアを行うサービスです。そのため、訪問看護の看護師には、病棟看護師が行うアセスメントよりも広い意味でのアセスメントが求められます。自宅と病棟の大きな違いは、看護の環境や設備です。病棟看護師は、主に患者の状態のアセスメントであるフィジカルアセスメントを行います。訪問看護師はそれに加え、患者の療養環境を含んだ健康状態全般を分析、評価するヘルスアセスメントを行わなければいけません。
自宅と病棟では、アセスメントの評価基準が異なります。入院患者の目的は治療や機能回復ですが、自宅療養患者の目的はできる限りの快適な生活であり、生活の一部に医療や看護があるのです。フィジカルアセスメントに重きを置き過ぎると、患者やその家族が望まない療養生活になりかねません。そこで、訪問看護師は医療と患者、双方の視点からアセスメントを考える必要があります。
訪問看護の訪問は週1回程度で、滞在時間は約1時間が一般的です。短時間で看護ケアや療養指導などのアセスメントの他、身体や心理状況、生活環境、家族の介護力といった多くのアセスメントを行うので、玄関を入ったときからアセスメントが始まっていると考えて、周囲に目を配ります。自然な会話の流れの中で、アセスメントに必要な情報を聞き出せれば訪問看護の上級者です。訪問介護員などの他職種と情報交換したり、ケア方針を相談したりすると、アセスメントの精度が上がるでしょう。